RPGツクールと数学のブログ

RPGツクールと数学についてのブログです。

異種微分積分 ~ 四則演算の拡張

過去ブログの転載です。

微分積分を習ってから色々なことを吸収し始めると、なんだか積分って、掛け算の拡張みたいだよな!!とか思い始める子いるんじゃないかと思います。

なぜかというと、掛け算というのは言わば長方形の面積を求めるのと一緒の演算で、積分は長方形に限らず、どんな図形でも面積を得られるので、掛け算の拡張のようだと感じられるようになるわけです。

一方で、Σで表す「総和」の掛け算版で、Πで表す「総積」というのもあります。これもよくよく考えてみたら掛け算の拡張と言えないでしょうか。ある一般項で表される数列を掛け算していった値を返すのですから。

そうすると、単純に掛け算の一般化が積分だ、とは言えなくなってくるわけです。

改めて定積分の定義(?)に戻ってみると区分求積としてこんな式で表すことができますよね。

 \displaystyle \int_{a}^{b} f(x)dx = \lim_{n \to \infty} \frac{b-a}{n} \sum_{k=1}^{n} f \left( a+\frac{b-a}{n}k\right)

これΣなんですよ。無限に細かい足し算をやっていってるわけです。

掛け算は足し算の拡張とも言えますから、積分は確かに掛け算の拡張といっても良さそうですけど、やっぱりこれ、Σなんですよね。ということは∫ってΣに対応してるのですよ。

∫は連続値に関する総和で、Σは離散値に関する総和です。
Σを掛け算にしたのはΠで、Πは離散値に関する総積でした。
ということは、連続値に関する総積だってあっていいわけですよね。

 \displaystyle \sum_{k=1}^{n} a_{k}=\log \prod_{k=1}^{n} e^{a_{k}}
 \displaystyle \prod_{k=1}^{n} a_{k}=e^{\sum_{k=1}^{n} \log a_{k}}

ΣとΠに関して、こんな変換式があります。指数法則・対数法則を考えれば何も難しいことでなく、当たり前のことです。

この2番目の右辺ですが、ここのΣを∫に置き換えてしまったらどうなるでしょう。そうすれば左辺にくるのは連続値に関する総積になりそうじゃないですか。ということで、次のようにして連続値に関する総積を定義します。

 \displaystyle \prod_{x} f(x)^{dx}=e^{\int \log f(x) dx}

積分の掛け算バージョンということで、これを乗法的積分といいます。総積と同じ記号ですけど、上下に付す文字の書き方がちょっと違いますね。

乗法的積分に関して、次の区分求積の式が得られます。

 \displaystyle \prod_{a}^{b} f(x)^{dx}=\lim_{n \to \infty} \left\{ \prod_{k=1}^{n}f\left( a + \frac{b-a}{n}k \right) \right\}^{\frac{b-a}{n}}

普通の区分求積を変換してやれば簡単に示すことが出来ます。

∫の方は無限に小さな値を掛けたものを無限に足すというものでしたが、Πの方は無限に小さな値を累乗したものを無限に掛けるというものです。

ちょっと何を計算してるのかイメージしづらいですけど、使い道もよくわかんないですし、特にイメージしなくていいと思います。

この乗法的積分にももちろん逆演算を定義できて、これを乗法的微分と呼びます(たぶん)

 \displaystyle \frac{d}{dx}f(x)=\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h}
 \displaystyle \sqrt[dx]{df(x)}=\lim_{h \to 0} \left \{ \frac{f(x+h)}{f(x)} \right\} ^{\frac{1}{h}}

上のが普通の微分で、下のが乗法的微分です。引いて割るか、割って累乗根とるか、の違いですね。そんでもって、微分不定積分とは対応しています。

 \displaystyle \frac{d}{dx}f(x)=g(x) \Leftrightarrow \int g(x)dx = f(x)+C
 \displaystyle \sqrt[dx]{df(x)}=g(x) \Leftrightarrow \prod_{x} g(x)^{dx}=Cf(x)

合理的な対応だとは思います。Cは積分定数ですね。
上のが普通の微分不定積分との対応、
下のが乗法的微分と乗法的不定積分との対応です。

不定積分ができれば、もちろん定積分も行えます。

 \displaystyle \int_{a}^{b} g(x)dx = f(b)-f(a)
 \displaystyle \prod_{a}^{b} g(x)^{dx}=\frac{f(b)}{f(a)}

f, gはさっきの関係と同じです。これによって乗法的微積分を取り扱うことが出来るようになりました。

このように対比してみると、普通の積分が足し算の拡張で、乗法的積分が掛け算の拡張のように思えますよね。

一方、離散値に対する演算でΣとΠがありましたよね。それらも逆演算を定義して、微分積分と同じように扱うことが可能です。Σのことを和分、Σの逆演算を差分といって、それぞれ積分微分に対応します。

するとΠの方は対応して乗法的和分、その逆演算を乗法的差分と呼びます。

 \displaystyle \Delta a_{n}=a_{n+1}-a_{n}
 \displaystyle \diamondsuit a_{n}=\frac{a_{n+1}}{a_{n}}

まず、差分と乗法的差分の定義です。

差分の方はふつうΔが使われるんですけど乗法的差分の方は記号なかったので、てきとうに◇にしてみました。何て呼ぼう。ダイヤかな。

実は差分というのは高校数学に出てくる階差数列のことで、階差数列のもとにもとの数列の一般項を求める操作ことが和分です。

単に階差数列の一般項があればいいんじゃなくて、もとの一般項を得るときはさらに初項が定数として必要でしたよね。あれが不定和分の和分定数に相当するものなんですよ。

 \displaystyle \Delta a_{n}=b_{n} \Leftrightarrow \sum_{n} b_{n}=a_{n}+C
 \displaystyle \diamondsuit a_{n}=b_{n} \Leftrightarrow \prod_{n}b_{n}=Ca_{n}

これらは不定和分と乗法的不定和分の定義です。逆演算なだけですね。乗法的不定和分はΠの記号が使われるみたいです。
以下の差分和分の記事では不定和分はΔ^(-1)とか書いてましたけど、Σの記号を使うこともあるらしく、定和分(普通の総和)とも対応するのでこう書きました。

差分和分 - RPGツクールと数学のブログ

不定和分はΠですね。どちらも何に関する和分なのかの変数を記号の下に書くことをします。で、範囲が決まれば次のように、不定和分を用いて定和分を定義できます。

 \displaystyle \sum_{n=\alpha}^{\beta}b_{n}=a_{\beta + 1} - a_{\alpha}
 \displaystyle \prod_{n=\alpha}^{\beta}b_{n}=\frac{a_{\beta + 1}}{a_{\alpha}}

書いててしまった!と思ったのですが、a, bが被っちゃいましたので即席で範囲をα→βにしちゃいました。見づらいかなぁ。計算時にはそれぞれβ+1にするのを忘れないようにしましょうね。

色んな数列や関数の差分や微分を計算して公式を作り、それらを用いて逆演算に持ち込みまして、和分や積分を計算できるようにすると、数列の総和や総積として和分の計算や、冒頭で述べたような、ΣやΠで表された極限値の計算として積分の計算をすることができるようになるということです。

そして、これらは四則演算の拡張になっています。
引き算は足し算のマイナス版、割り算は掛け算の逆数版と考えれば
離散値の足し算をするのが定和分、離散値の掛け算をするのが乗法的定和分、
連続値の足し算をするのが定積分、連続値の掛け算をするのが乗法的定積分
ということになり、すべての四則演算をオーバーラップして考えることができます。
差分・微分は四則演算でいうと一応引き算、割り算に対応しています。
これらの定義によって四則演算を拡張してしまうことに成功するのであります。

ここに、四則演算に取って代わる、拡張された新しい演算を提示します。ウィキペディアの和訳にならって異種微分積分と呼びます。

f:id:fermiumbay13:20190409012850p:plain

皆様の中にあったモヤモヤはこれにて解消されると思います。実際に公式作って何か計算するってのは、めんどくさくなったので皆様にゆだねます。

参考URL

List of derivatives and integrals in alternative calculi - Wikipedia