RPGツクールと数学のブログ

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できない積分に使える特殊関数いろいろ

過去ブログの転載です。

できそうでできない、できない積分は実は身近にあふれているというお話でした↓

fermiumbay13.hatenablog.com

そういう積分を何故かわからないけど解かないといけない場面に万が一遭遇してしまったときのため、以下のようなマイナーな特殊関数をご紹介します。たぶんそういう目的でしか使わないんじゃないの??

正弦積分 {\rm Si}(x)=\int_{0}^{x}\frac{\sin t}{t}dt

余弦積分 {\rm Ci}(x)=-\int_{x}^{\infty}\frac{\cos t}{t}dt

指数積分 {\rm Ei}(x)=-\int_{-\infty}^{x}\frac{e^{t}}{t}dt

多重対数関数: {\rm Li}_{n}(x)=\sum_{k=1}^{\infty}\frac{x^{k}}{k^{n}}=\int_{0}^{x}\frac{{\rm Li}_{n-1}(t)}{t}dt

これらを使って色々解いてみましょう。

∫sinx/x dx

これも出来そうでできない積分です。上で挙げた正弦積分*1を使うと解けます。

 \int \frac{\sin x}{x}dx={\rm Si}(x)+C

同様に上の関数を使えば、

 \int \frac{\cos x}{x}dx={\rm Ci}(x)+C

 \int \frac{e^{x}}{x}dx={\rm Ei}(x)+C

なんていうのもそれぞれ求められます。

∫1/logx dx

これもできない積分なんですね……

 \log x=tとおくと dx=e^{t}dtになりますから、

 \int \frac{1}{\log x}dx
 =\int \frac{e^{t}}{t}dt
 ={\rm Ei}(t)+C
 ={\rm Ei}(\log x)+C

となります。

∫e^x logx dx

 \int e^{x} \sin x dxはできる積分ですが、 \int e^{x} \log x dxはできない積分です。

微分側を \log x積分側を e^{x}として部分積分すると、

 \int e^{x} \log x dx
 =e^{x} \log x -\int \frac{e^{x}}{x} dx
 =e^{x} \log x -{\rm Ei}(x)+C

となります。

∫log(x+1)/x dx

これも不思議なのですけど、 \int \frac{\log x}{x}dxはできる積分なのに、 \int \frac{\log (x+1)}{x}dxはできない積分になります。ちょっとズレただけなのにね。

多重対数関数の次の公式を使えば簡単に求まります:

 -\int \frac{\log(1-x)}{x} dx={\rm Li}_{2}(x)+C

これは前回の記事で説明したものですね。へんな積分を解く際は、とりあえずこの公式を知っておくと便利かもしれません。これを使えば、

 \int \frac{\log (x+1)}{x}dx
 =-\int \frac{\log (1-(-x))}{-x}dx
 =-{\rm Li}_{2}(-x)+C

となります。

*1:「正弦積分」という名前の関数です。楕円積分とかと同じニュアンスじゃないかなぁ?