RPGツクールと数学のブログ

RPGツクールと数学についてのブログです。

階乗の逆数総和の部分和

過去ブログの転載です。

Σ[k=0→∞]1/k!=e
というのは有名な事実ですが、これはマクローリン展開の式を用いれば簡単に示すことができます。

知恵袋の質問に、では Σ[k=0→n]1/k! は何になるのか? というのがあったので、回答を作っていたのですが、回答しようと思ったときに質問が消えてしまっていたので、もったいないので記事にして残したという経緯です(-ω-;)

まず、すべて通分すると分母はn!となり、
分子は 1+n+n(n-1)+n(n-1)(n-2)+……+n(n-1)(n-2)……3・2・1=Σ[k=0→n]nPk
と表すことができます。てきとうな数でやってみると明らかですね。nPkは順列です。すなわち、Σ[k=0→n]1/k!=1/n! Σ[k=0→n]nPk となります。Σ[k=0→n]nPkを求めることを考えます。

ガンマ関数Γ(x)=∫[0→∞]t^(x-1) e^(-t)dt は階乗の拡張として機能しますが、それはこれを部分積分したときに階乗が現れることから確認できます。順列は階乗の部分積のようなものなので、ガンマ関数で何とか表せないか考えることになります。

ここではガンマ関数の更なる拡張である、
不完全ガンマ関数Γ(a, x)=∫[x→∞]t^(a-1) e^(-t)dt を用います。

部分積分を用いると、
Γ(a, x)
=∫[x→∞]t^(a-1) e^(-t)dt
=[-t^(a-1)e^(-t)](範囲:x→∞)+(a-1)∫[x→∞]t^(a-2) e^(-t)dt
=x^(a-1)e^(-x)+(a-1)Γ(a-1, x)
という漸化式が導けますので、
Γ(a, x)=x^(a-1)e^(-x)+(a-1){x^(a-2)e^(-x)+(a-2){x^(a-3)e^(-x)+(a-3){……}}}
と展開することができます。なんか複雑な項がありますが、x=1ならば
Γ(a, 1)=e^(-1)+(a-1){e^(-1)+(a-2){e^(-1)+(a-3){……}}}
=e^(-1){1+(a-1)+(a-1)(a-2)+(a-1)(a-2)(a-3)+……}
となってすっきりします。
部分積分を続けていくと(a-a)の係数が出るので、これは閉じた式になります。最終項は(a-1)!ですね。
すると、e^(-1)が掛かっていることを除けばこれはΣ[k=0→a-1](a-1)Pk となっていることが分かります。即ち、Γ(a, 1)=e^(-1)Σ[k=0→a-1](a-1)Pk が成り立ちます。

求めたかったのはΣ[k=0→n]nPkでしたから、
n=a-1として、Σ[k=0→n]nPk=eΓ(n+1, 1) と表せます。

従って、Σ[k=0→n]1/k!=eΓ(n+1, 1)/n! と表せます。

実はWolfram Alphaで出てきた答えを見てから考えたものなのですが、ちゃんと出てきて満足です。